生活習慣病について学ぶヘルスコアnote

健康管理や生活習慣病関連について、気になったことや調べたことなどを記事にしていきます。

高TG血症を起こしやすい要因のうち肝臓脂肪を増やす行動習慣とは?

fatty liver in obese person, conceptual illustration - 脂肪肝点のイラスト素材/クリップアート素材/マンガ素材/アイコン素材

 

今回は前回の内容に倣い、脂肪肝インスリン抵抗性を起こしやすい行動習慣について話していこうと思います。

とその前に、何回かに分けて書いていたせいで、方向性を見失いそうになっていたので一旦内容を簡単に整理してから進めていこうと思います。

話の大元は脂質異常症の診断基準の1つであるトリグリセリド(TG)は、どうすると上昇するのかという話から始まり、

その中で、血中に存在するTGは食事由来のカイロミクロンと体内(肝臓)で合成されるVLDLというタンパク質に存在しているという話でしたね。

で、空腹時にTGが高いのは主にVLDLによるものであるという話から、じゃあどうするとVLDLの合成が促進されるのかという話の流れになり、今に至るって感じでしたね。

なので今回は改めて、TG・VLDLの合成・分泌が促進されやすくなる脂肪肝インスリン抵抗性はどのような行動習慣で起きやすいのかという話をしていこうと思います。

今回の内容を理解しておけば、予防・改善のために具体的にどう行動していけばいいかが見えてくるのではないかと思います。

よかったら参考にしてみてください。

ただ個人的にインスリン抵抗性の部分については、少し細かく話したいなって思ってるので次回で主にまとめようと思ってますってことを先に伝えておきます。

なので今回は脂肪肝の部分についてがメインになります。

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高TG血症を促進させる原因とは?

fatty liver, illustration and micrograph - 脂肪肝点のイラスト素材/クリップアート素材/マンガ素材/アイコン素材

 


前回に引き続き、脂質異常症の診断基準の1つでもある高TG(トリグリセリド)血症について、どうすると上昇するのかについて勉強していこうと思います。

前回の内容を簡単にまとめると、体内でTGを運ぶ物質としてカイロミクロンとVLDL(超低密度リポタンパク質)があり、食事由来の脂質を運搬しているのがカイロミクロン、体内で生成されたTGを運搬しているのがVLDLだという話をしました。

また血中のTG濃度は食事によって変化することがわかっていて、食後のTG上昇は外因性であるカイロミクロンに伴うものであり、つまり空腹時のTG濃度の高さはVLDLに左右されていることが考えられるという結論から、

VLDL合成がどのような状態で起きやすいのかを知ることが高TG血症を予防・改善するためのポイントになってきそうだよね!という話をしました。

なので今回は、VLDL合成がどのような状態で起きやすいのかについてまとめていこうと思います。

 

 

まずは簡単な結論から

どのような状態や生活がVLDL合成(=高トリグリセリド血症)を引き起こしやすいのかというと、一言で言うならば

脂肪肝高血糖・糖尿病を引き起こしやすい

状態・生活

だと言えます。

どういうことなのか説明していきます。

 

VLDL合成・分泌が促進される原因

脂肪肝

前回の記事でも説明したように、VLDLは体内で生成されたTGを肝臓から末梢へ運び出す役割があります。ということは単純な話、肝臓での脂肪量が増えればVLDLの分泌も増える可能性が高くなるということです。

実際に肝臓の脂肪含有量が多くなると、VLDL分泌が亢進するということが報告されています。(

そのため、脂肪肝脂肪肝を促進する生活は高トリグリセリド血症を引き起こす根本的な原因の1つである可能性が高いということにもなってきます。

なので

  • 脂肪肝にどうするとなりやすいのか?
  • 脂肪肝を防いだり改善するにはどうしたらいいのか

について学ぶことが、高トリグリセリド血症を予防・改善するためのヒントかなって感じです。

 

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性もまたVLDL分泌を促進させることがわかっています。

インスリン抵抗性とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンによって、血管内の糖が細胞内へ取り込まれる作用が、障害されている状態のことを言いいます。

2型糖尿病の血糖値が高くなる原因として有名かなと思います。

ではなぜインスリン抵抗性が起きるとVLDL分泌が促進されやすくなるのかというと、明確なメカニズムは明らかになっていないですが、肝臓の脂肪貯蔵、特に脂肪毒性の蓄積に抵抗するためのメカニズムと考えられています。(

インスリン抵抗性になると、余った血管内の糖は脂肪へと変換されやすくなります。

するとその脂肪が肝臓内に蓄積されてしまう可能性があるということです。

そして、肝臓内に溜まった脂肪が炎症や、細胞死、繊維化などへ進行させてしまう可能性があるということが報告されています。(

つまり、インスリン抵抗性は肝臓内に溜まった脂肪による脂肪毒性を軽減させるために、肝臓からのVLDL(中性脂肪)の分泌を増やして対処していると考えられているわけです。

そのため、インスリン抵抗性を引き起こすような生活などに対して対策していくこともまた、高トリグリセリド血症を予防・改善するための方法の1つと言えるということです。

そしてインスリン抵抗性がすでに起きている糖尿病および予備軍の場合、脂質異常症を起こしやすい状態でもあることが考えられるわけですから、その辺も考慮して対策して行った方が良さそうですね。

 

では脂肪肝インスリン抵抗性はどのような行動でなりやすいのかについては、次回話していこうと思います。

それでは!

 

高TG(トリグリセリド)血症はどのような仕組みで上昇するのか?①

butter - 中性脂肪 ストックフォトと画像

今回は脂質異常症の検査項目の1つである高トリグリセリド(以下TG)血症について、どうすると上昇するのか?ということについて勉強していこうと思います。

高TG血症は世界だけでなく日本においても脳卒中リスクや虚血性心疾患(心筋梗塞狭心症など)のリスクを高めることが報告されています。L

日本の疫学調査では空腹時のTG値が150以上の場合において、虚血性心疾患のリスクが高まると報告されています。

そのため現在脂質異常症の診断基準では、空腹時のTG値が150以上に設定されています。そういう理由で診断基準の値が決まっているんですね!

基準値がなんでその数値に設定されているのかがわかると、健康診断とかでの検査結果の見方も変わってきますよね!

今回はそのような健康情報を伝えてくれるTG値が、どのようにして上昇するのかということについて勉強していこうと思います。

 


TGは体内でどのように存在しているのか?について考えてみる

TG値を見るときは血液検査を受けるかと思います。しかし、血液は水でありTGは油であるため血液中に溶け込むことはできません。

ではTGはどこに存在しているのかというと、リポタンパク質と呼ばれるタンパク質の中に組み込まれて運搬されていきます。

ではリポタンパクとはなんなのかというといくつか種類があり、よく聞くものだとLDLやHDLなどがあります。コレステロールの話で聞くやつですね。

アルファベットで見るとわかりやすくて、LDLはLow(低い) Density(密度) Lipoprotein(リポタンパク)と書き、略してLDLというわけなんですね。

つまりTGは血液中においてこのリポタンパク質の中に組み込まれることで、油であっても水の中を移動することができているということですね。

そして検査においてTGを見るときは、リポタンパク内にあるTGを分離してかき集めてみているというわけなんですね。

 


TGを多く含むリポタンパクはどれ?

たださっきも言ったようにリポタンパク質にもいくつか種類があって、種類によってタンパク質の比重や中性脂肪を含む割合が異なってくるのです。

ではどんな種類のリポタンパク質があるのかというと、主に5つあります。

  1. カイロミクロン
  2. 超低密度リポタンパク質(VLDL)
  3. 中間密度リポタンパク質(IDL)
  4. 低密度リポタンパク質(LDL)
  5. 高密度リポタンパク質(HDL)

アルファベットや似たような感じの名前で意味わからないと思う人もいるかもしれませんが、ここではTGを多く含むものだけ触れていきます。

その他については別で詳しく解説していければと思います。

この5つの中でどれがTGを多く含んでいるのかというと、カイロミクロンVLDLです。

 

・カイロミクロンについて

カイロミクロンは体内で何をしているのかというと、主に食事由来の脂肪を運搬する働きをしています。

食事中の脂肪はそのままでは吸収や運搬ができないため、胆汁の乳化作用によって水に溶けやすい形に加工されていきます。

そして乳化された脂肪がカイロミクロンというタンパク質に組み込まれることによって、体内に吸収されていくというわけです。

ちなみにカイロミクロンの中性脂肪の割合は約90%なので、ほとんど中性脂肪ということですね。

で、冒頭のところで「空腹時のTG」がという表現をしたと思いますがなぜかというと、血糖値のようにTGも食後に上昇しやすいからです。

なので検査において空腹時TGを測るためにも、食後10時間くらいは空けるように注意書きが書かれててたりするわけですね。

そしておそらく食後のTG値上昇に関与しているのがカイロミクロンなのだろうと考えられるわけです。

なんとなくカイロミクロンについてわかりましたかね?

 

・VLDLについて

次にVLDLがなんなのかについて説明していきます。

VLDLが一体何者なのかというと、肝臓で作られたトリグリセリドを肝臓から全身に向けて運び出す役割をしています。

カイロミクロンと比べていうならば、カイロミクロンは外因性で食事由来のトリグリセリドを運ぶ役割なのに対して、VLDLは内因性で肝臓で作られたトリグリセリドを運んでいるという感じです。

中性脂肪を含む割合はというと、カイロミクロンが約90%なのに対してVLDLは約半分ほどで、リポタンパク質の中ではカイロミクロンに次いで多いです。

そしてVLDLはTGを脂肪細胞へ引き渡した後は、酵素によってLDLへと変換されていきます。

なのでVLDLの合成が促進されると、結果としてLDLが増加するというわけです。

 

少し話が逸れましたが、つまりカイロミクロンとVLDLの増加がTG値の増加を表しているということになってきます。

そしてカイロミクロンの上昇は食事と連動しているため、空腹時のTG値の上昇は内因性要因であるVLDLの合成がどうなっているのかによって左右されていることが考えられるわけです。

そのため、TG値がなぜ高くなってしまっているのか、どうすれば下げることができるのかを考える上でポイントになってくるのは、VLDLがどのようにして合成が促進されるのかを知ることだと言えます。

では、どうするとVLDL合成が促進されるのかについては、長くなってしまったのでまた次回!

 

LDLを上昇させる飽和脂肪酸の種類とそれを含む食材はどれか?

processed meats on platter - 飽和脂肪酸 ストックフォトと画像

今回は前回の内容にならい、脂肪合成を促しやすい具体的な生活習慣や状態について1つ1つ考えていこうと思います。

前回の記事を読めていない方は、こちらからどうぞ↓

yoboucare365-ysk.hatenablog.com

どういう行動が脂肪合成を促し、LDLコレステロールを上昇させる可能性があるのかについて知り理解することで、自分の生活を振り返った時どの行動がLDL上昇リスクになるのかが予測しやすくなると思います。

一般的なLDLコレステロールを上昇させる原因ではなく、あなた自身のために知るべき原因について把握できるようになることが、あなたに合った健康管理なんだと思います。

今回だけに限らず、あなたの生活に合う健康管理の方法を見つけられるように、一緒に勉強してヘルスリテラシーを高めていきましょう!

今回は脂肪合成を促す生活習慣の1つ目、長鎖脂肪酸の摂取についてです。

 

・長鎖脂肪酸飽和脂肪酸)の過剰摂取

よくLDLを上昇させる原因のうち食事の油について、飽和脂肪酸でひとまとめにされがちですが、実際に飽和脂肪酸の中で脂肪合成を促進させるのは赤身肉や脂身などに多く含まれている長鎖脂肪酸です。

長鎖脂肪酸に含まれるラウリン酸・ミリスチン酸、パルミチン酸は総コレステロールを上昇させることが報告されています。

その中でも特にラウリン酸はHDLに影響を及ぼし、「総コレステロール:HDL比率」を減少させることも報告されています。

長鎖脂肪酸はnon-HDLを上昇させる?

コレステロール:HDL比率を減少させるということは、総コレステロールに対して、HDLコレステロールの割合が減少しているということです。

HDLコレステロールの割合が減少するということは、脂質異常症の診断基準の検査項目の1つであるnon-HDLを上昇させる可能性が考えられます。

non-HDLとは総コレステロール値からHDLコレステロールを引いた値のことを指します。

LDLコレステロールの上昇は動脈硬化プラーク形成を促す原因の1つであることは知られていますが、それ以外にも動脈硬化や心疾患リスクを上昇させるということが報告されている体内物質があり、それらとLDLの上昇度合いを評価するための検査項目がnon-HDL値です。

つまりon-HDLの上昇は動脈硬化や心血管疾患リスクがより高くなっていることを表しています。

得た知識をどう使うか?

そのため、長鎖脂肪酸を含む主な食品が何かを知り、得た知識を買い物での食材選びや外食時の食品選択に生かしていくことが実際の場面では重要になってくると言えます。

得た知識はどう使うか、どのように生活に落とし込むかが重要になってくるので、これからもそのような意識で記事を読んだり勉強してもらえたらと思います。

 

また別の研究では飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えることで、体重増加に伴う体への悪影響を打ち消してくれることも報告されています。

そのため、長鎖脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えることも、疾病予防においては有用であると言えます。

そして多価不飽和脂肪酸を含む主な食品は何か、身近なスーパーなどで買える食品はどれかというところまで落とし込めるようにしていきましょう。

比較的身近で長鎖脂肪酸の多い食品をリストアップしておきます。

 

ただ食品1つを1つの栄養素から見るのは良くなくて、

例えばココナッツオイルなどは飽和脂肪酸の割合は多いですが、中鎖脂肪酸も多く含まれていて中鎖脂肪酸は肝臓で代謝されやすく脂肪になるよりエネルギーに変換されやすい特徴を持っていて、ケトジェニックダイエットなどでよく取り入れられる食品でもあります。

そして代謝過程で産生されるβヒドロキシ酪酸が健康に良い影響を与えてくれることも報告されています。

そのため、ここでは飽和脂肪酸という点だけでなく、炎症を起こしやすいオメガ6やトランス脂肪酸なども考慮してリストアップしていきます。

よかったら参考にしてみてください。

参照元

fooddb.mext.go.jp

《長鎖脂肪酸の多い身近な食品》

《n-3系多価不飽和脂肪酸の多い食品・油》

 

《n-6系多価不飽和脂肪酸の多い食品・油》

  • サフラワー油
  • ひまわり油
  • とうもろこし油
  • 大豆油
  • ごま油
  • 調合油
  • 米ぬか油
  • なたね油
  • ラー油
  • ブドウ油
  • マヨネーズ
  • ファストブレッド
  • バターピーナッツ

オイルについては、もっとしっかり調べていく必要がありそうです!

 

 

 

LDLコレステロールを増やす生活習慣の共通点とは?

cholesterol blood test, conceptual image - コレステロール ストックフォトと画像

今回はLDLコレステロールが増加させる生活習慣の共通点について話していこうと思います!

LDLコレステロールの増加は、動脈硬化プラーク形成に伴って心筋梗塞脳梗塞などを引き起こすリスクが高くなることで知られています。

またLDLコレステロールを増加させる要因についても、ネットで調べればすぐに色々出てくるので知っている方も多いのではないのかなあと思います。

一般的に言われているLDLコレステロールの増加要因は以下のようなものがあります。

ただ実際はLDLが増加する原因も個々で異なってくるかと思います。その場合、自分のLDLコレステロール値が高くなっている原因は何かを自分自身で振り返れる必要が出てきます。

そのため今回は、LDLコレステロールが増加する原因の共通点についての理解を深めて、自分のLDLコレステロール値を増加させている、または増加させる可能性のある要因は何かが考えられるようになってもらえたらと思います。

 

LDLコレステロールを増やす生活習慣の共通点とは?

では今回の結論から話すと、LDLコレステロールを増加させる生活習慣の共通点とは中性脂肪の合成を促進させる行動であることです。

どういうことかというと、LDLは肝臓で作られた脂肪を全身に輸送するために作られるVLDLという輸送体から派生した物質です。

そのため、肝臓で中性脂肪の合成が促進されることでVLDLが産生され、結果的にLDLも作られる言うことです。

ここから言えることは、LDLコレステロールを下げたり、上げないようにするためには、中性脂肪合成を促進させる生活をしないようにすることが肝心であるということです。

 

LDLを増やす可能性のある生活習慣・状態

ではどのような生活習慣や状態が脂肪合成を促進させ、LDLコレステロールを増やす可能性がるのか、改めて以下に列挙しておきます。自分に当てハマりそうなものはどれか考えてみてください。

  • 長鎖脂肪酸(動物性脂肪に多い脂肪)の摂りすぎ
  • トランス脂肪酸の摂りすぎ
  • 高血糖・高インスリン血症・糖尿病
  • 肥満
  • 不眠
  • ストレス
  • 遅い時間での食事
  • オーバーカロリー
  • 糖質の摂りすぎ
  • フルクトースの摂取
  • アルコールの多飲

各習慣や状態のなぜ?については、別で1つずつ解説していければと思います。

 

どうするとHDLコレステロールだけが低下するのか?

sleeping pills in bedroom - 睡眠不足 ストックフォトと画像

前回の記事ではHDLコレステロールが低下してしまう原因の考え方として、合成臓器や合成に必要な材料が不足してしまうのではないか、ということについて話しました。

まだ読んでない方はこちらからどうぞ!

yoboucare365-ysk.hatenablog.com

今回はHDLが減少してしまうもう1つの考え方、《HDLの需要が多くなり枯渇してしまっているのではないか》について話していこうと思います。

HDLが枯渇してしまう理由と対策

HDLコレステロールのことについて少し振り返ると、主な役割は余分なコレステロールを肝臓に回収してくれるというものでした。

そのおかげでプラークという脂肪の塊が血管に形成されてしまうことを防ぎ、脳梗塞心筋梗塞なども予防できていると言えます。

ただ逆を返せば、余分なコレステロールが多くなってしまえば、それだけHDLコレステロールの必要性が増してきてしまうということです。

 

HDLは検査の基準値からわかるようにLDLコレステロールに比べて、体内に存在する割合が少ないということがわかります。

また、LDLコレステロールは肝臓から全身に向けてコレステロールを輸送する役割であることからも、LDLレベルが高い状態であればHDL需要量がかなり増加してしまっているということが想像できるかと思います。

つまり、LDLが高くなればその代償としてHDLが減少するということです。

そのため、HDLコレステロールもLDLコレステロールも両方高ければ、LDLを下げるための戦略を考えていくことが重要であるということが考えられます。

ただ、人によってはLDLコレスールは基準値内だけど、HDLコレステロールだけ低下してしまっているという人も少なくないと思います。

ではそういう人はどのようにして、問題を解決策していけばいいのかについて考えていこうと思います。

 

HDLだけ低くなることがあるのはなぜか?

ここで重要になってくる知識は、HDLコレステロールがどのようなコレステロールを肝臓に回収してくれているのかということについてです。

結論から言うと、単に余ったコレステロールだけではなく、酸化して体にとって害となってしまうような状態になった酸化LDLに対してもHDLが作用していることがわかっています。

この酸化LDLはプラークの原因なだけでなく、HDLだけを低下させる要因だと考えられます。なぜなら酸化したLDLコレステロールは単にLDLの量が多いだけではなく、炎症レベルや体の酸化レベルが高くなくような生活をしていても増える可能性があるからです。

明確なメカニズムはわかっていませんが、炎症レベルを高める生活要因である喫煙や睡眠不足、アルコールの過剰摂取などはHDLレベルを低下させることが報告されています。

そしてこのような酸化LDLが増えることでHDLコレステロールの需要量が高まり、HDLコレステロールだけが低下してしまうのだろうと言うことが考えられます。

 

HDL低下を予防・改善するために学ぶべきこと

これらから考えられる対策は、酸化レベルを高めてしまうような生活や体の状態になることを避けることです。

そのためには、対策する側はどのような生活や状態が酸化レベルを高めてしまうのかについて知ることが大切です。

そして、一人一人主な原因が異なってくるでしょうから、自分に当てはまるものが何かを考えて、それに合わせてあなたに合う対策を考え実践していくことが重要であると言えます。

LDLを下げるための方法の考え方、酸化レベルを高めてしまう状態や生活などについては次回以降の記事でまとめていこうと思います。

もし気になれば自分でも調べてみてください!

HDLコレステロールはどこで作られるのか?から考える脂質異常症の解決策

今回はHDLコレステロールについての話をしていこうと思います。

HDLコレステロールは、全身に余ったコレステロールを肝臓に回収してくれるという非常に優秀な働きをしてくれています。

しかし検査項目の基準値を見てわかるように、体内におけるHDLコレステロールの割合がLDLコレステロールと比べて少ないことがわかります。

そのため、コレステロールが多くなりすぎてしまうような生活をしたり、HDLの産生を停滞させてしまうような健康状態では、簡単に基準値を下回ってしまいます。

そのため、HDLコレステロールが枯渇しないようにしていくにはどうしたらいいのかを知っておくことは、脂質異常症を改善するだけでなく、心筋梗塞脳梗塞などを予防する上でも重要なことであるといえます。

全てのメカニズムを理解することは困難ですが、要所を押さえてより良い健康習慣や行動につなげていけるように一緒に勉強していきましょう!

HDLがどうすると減少するのか?についての2つの仮説から考える

HDLコレステロールがどうすると減少するのだろうということを調べるためにまず考えたのは、減るということはHDLの合成が低下しているのかHDLの需要が多すぎて枯渇しまっているかどちらかであろうということです。

まずはHDLの体内で合成についてですが、これについても合成が低下するには2つの要因があるのではないかと考えられました。1つは合成に必要な材料が不足しまっているためではないかということ。もう1つは合成する臓器が障害されてしまっているのではないか?ということです。

HDLはどこで合成されるのか?

まずHDLの合成についてですが、主に肝臓と腸上皮で合成されています。なぜ主に肝臓と腸で合成されるのかというと、調べている中でわかったのは、HDLを構成するタンパク質の合成が基本的に肝臓と腸でしか行われないということです。

つまり腸や肝臓の機能が低下すれば、タンパク質合成が低下しHDLの合成が低下してしまう可能性があるということです。

肝機能を低下した疾患として肝炎や肝硬変などがありますが、これらは肝機能が低下することによって、コレステロール値が低下しやすい特徴があります。おそらく、肝臓の機能にタンパク質合成があるため、肝機能が低下することでタンパク質合成も低下してしまうということです。

また低栄養の場合でもHDLの低下が認められています。そもそも低栄養とは、タンパク質であるアルブミンが指標とされています。

低栄養はどのようにして起きるのかというと、タンパク質が十分に摂取できていなかったり、消化・吸収機能が低下していたり、感染やがんなどで栄養素の必要量が増大した時などに起こります。

これらから何がわかるのかというと、HDLを維持したり低下を防ぐためにはタンパク質合成が機能していることや合成臓器が十分に機能している必要があるということです。

そのため、血液検査の結果をみるときは脂質のデータだけでなく肝機能の指標を見ることも重要です。そして、肝機能を低下させやすい要因であるアルコールや薬、そして糖質の摂りすぎなどにも注意を払っていくことが、健康管理をしていく上で重要になってくるといえます。

HDLを構成する成分は何か?

次にHDLに必要な材料についてです。HDLは何によって構成されているのかというと、脂質50%、タンパク質が50%ほどと言われています。そしてHDLが合成される最初の段階では、コレステロールを含んでいない状態であるということです。

つまりHDLは約半分がタンパク質であり、前述したようにタンパク質合成が阻害されれば低下する可能性があるということです。

もう少し細かくみてみると、HDLを構成するタンパク質はアポタンパクと呼ばれ、文献の中ではapo-A1などとされています。そしてこのapo-A1を合成できるのが、主に肝臓と腸だけであるということです。それゆえ、HDLは肝機能の低下によって減少しやすいのだと考えられます。

また前述したように低栄養によってもHDLが低下してしまいます。そのため、食事においてタンパク質の必要量を摂取することも、HDLのコントロールにおいて重要な要因であると考えられます。

減量のためにカロリー制限などを取り入れたりする人も多いかもしれませんが、やはり三大栄養素の比率には配慮していくべきだといえます。

もしHDLが減少している場合、原因を考える参考にしてもらえたらと思います!

今回は量が多くなってしまったので、HDLが減少してしまうもう1つの考え方、《HDLの需要が多くなり枯渇してしまっているのではないか》については次回の記事に書いていこうと思います。