生活習慣病について学ぶヘルスコアnote

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高TG(トリグリセリド)血症はどのような仕組みで上昇するのか?①

butter - 中性脂肪 ストックフォトと画像

今回は脂質異常症の検査項目の1つである高トリグリセリド(以下TG)血症について、どうすると上昇するのか?ということについて勉強していこうと思います。

高TG血症は世界だけでなく日本においても脳卒中リスクや虚血性心疾患(心筋梗塞狭心症など)のリスクを高めることが報告されています。L

日本の疫学調査では空腹時のTG値が150以上の場合において、虚血性心疾患のリスクが高まると報告されています。

そのため現在脂質異常症の診断基準では、空腹時のTG値が150以上に設定されています。そういう理由で診断基準の値が決まっているんですね!

基準値がなんでその数値に設定されているのかがわかると、健康診断とかでの検査結果の見方も変わってきますよね!

今回はそのような健康情報を伝えてくれるTG値が、どのようにして上昇するのかということについて勉強していこうと思います。

 


TGは体内でどのように存在しているのか?について考えてみる

TG値を見るときは血液検査を受けるかと思います。しかし、血液は水でありTGは油であるため血液中に溶け込むことはできません。

ではTGはどこに存在しているのかというと、リポタンパク質と呼ばれるタンパク質の中に組み込まれて運搬されていきます。

ではリポタンパクとはなんなのかというといくつか種類があり、よく聞くものだとLDLやHDLなどがあります。コレステロールの話で聞くやつですね。

アルファベットで見るとわかりやすくて、LDLはLow(低い) Density(密度) Lipoprotein(リポタンパク)と書き、略してLDLというわけなんですね。

つまりTGは血液中においてこのリポタンパク質の中に組み込まれることで、油であっても水の中を移動することができているということですね。

そして検査においてTGを見るときは、リポタンパク内にあるTGを分離してかき集めてみているというわけなんですね。

 


TGを多く含むリポタンパクはどれ?

たださっきも言ったようにリポタンパク質にもいくつか種類があって、種類によってタンパク質の比重や中性脂肪を含む割合が異なってくるのです。

ではどんな種類のリポタンパク質があるのかというと、主に5つあります。

  1. カイロミクロン
  2. 超低密度リポタンパク質(VLDL)
  3. 中間密度リポタンパク質(IDL)
  4. 低密度リポタンパク質(LDL)
  5. 高密度リポタンパク質(HDL)

アルファベットや似たような感じの名前で意味わからないと思う人もいるかもしれませんが、ここではTGを多く含むものだけ触れていきます。

その他については別で詳しく解説していければと思います。

この5つの中でどれがTGを多く含んでいるのかというと、カイロミクロンVLDLです。

 

・カイロミクロンについて

カイロミクロンは体内で何をしているのかというと、主に食事由来の脂肪を運搬する働きをしています。

食事中の脂肪はそのままでは吸収や運搬ができないため、胆汁の乳化作用によって水に溶けやすい形に加工されていきます。

そして乳化された脂肪がカイロミクロンというタンパク質に組み込まれることによって、体内に吸収されていくというわけです。

ちなみにカイロミクロンの中性脂肪の割合は約90%なので、ほとんど中性脂肪ということですね。

で、冒頭のところで「空腹時のTG」がという表現をしたと思いますがなぜかというと、血糖値のようにTGも食後に上昇しやすいからです。

なので検査において空腹時TGを測るためにも、食後10時間くらいは空けるように注意書きが書かれててたりするわけですね。

そしておそらく食後のTG値上昇に関与しているのがカイロミクロンなのだろうと考えられるわけです。

なんとなくカイロミクロンについてわかりましたかね?

 

・VLDLについて

次にVLDLがなんなのかについて説明していきます。

VLDLが一体何者なのかというと、肝臓で作られたトリグリセリドを肝臓から全身に向けて運び出す役割をしています。

カイロミクロンと比べていうならば、カイロミクロンは外因性で食事由来のトリグリセリドを運ぶ役割なのに対して、VLDLは内因性で肝臓で作られたトリグリセリドを運んでいるという感じです。

中性脂肪を含む割合はというと、カイロミクロンが約90%なのに対してVLDLは約半分ほどで、リポタンパク質の中ではカイロミクロンに次いで多いです。

そしてVLDLはTGを脂肪細胞へ引き渡した後は、酵素によってLDLへと変換されていきます。

なのでVLDLの合成が促進されると、結果としてLDLが増加するというわけです。

 

少し話が逸れましたが、つまりカイロミクロンとVLDLの増加がTG値の増加を表しているということになってきます。

そしてカイロミクロンの上昇は食事と連動しているため、空腹時のTG値の上昇は内因性要因であるVLDLの合成がどうなっているのかによって左右されていることが考えられるわけです。

そのため、TG値がなぜ高くなってしまっているのか、どうすれば下げることができるのかを考える上でポイントになってくるのは、VLDLがどのようにして合成が促進されるのかを知ることだと言えます。

では、どうするとVLDL合成が促進されるのかについては、長くなってしまったのでまた次回!