生活習慣病について学ぶヘルスコアnote

健康管理や生活習慣病関連について、気になったことや調べたことなどを記事にしていきます。

高TG血症を起こしやすい要因のうち肝臓脂肪を増やす行動習慣とは?

fatty liver in obese person, conceptual illustration - 脂肪肝点のイラスト素材/クリップアート素材/マンガ素材/アイコン素材

 

今回は前回の内容に倣い、脂肪肝インスリン抵抗性を起こしやすい行動習慣について話していこうと思います。

とその前に、何回かに分けて書いていたせいで、方向性を見失いそうになっていたので一旦内容を簡単に整理してから進めていこうと思います。

話の大元は脂質異常症の診断基準の1つであるトリグリセリド(TG)は、どうすると上昇するのかという話から始まり、

その中で、血中に存在するTGは食事由来のカイロミクロンと体内(肝臓)で合成されるVLDLというタンパク質に存在しているという話でしたね。

で、空腹時にTGが高いのは主にVLDLによるものであるという話から、じゃあどうするとVLDLの合成が促進されるのかという話の流れになり、今に至るって感じでしたね。

なので今回は改めて、TG・VLDLの合成・分泌が促進されやすくなる脂肪肝インスリン抵抗性はどのような行動習慣で起きやすいのかという話をしていこうと思います。

今回の内容を理解しておけば、予防・改善のために具体的にどう行動していけばいいかが見えてくるのではないかと思います。

よかったら参考にしてみてください。

ただ個人的にインスリン抵抗性の部分については、少し細かく話したいなって思ってるので次回で主にまとめようと思ってますってことを先に伝えておきます。

なので今回は脂肪肝の部分についてがメインになります。

では改めてどうすると肝臓の脂肪含有量が増加しやすいのか?

まずは要点だけまとめておきます。

 

  • 女性よりも男性に起きやすいかも

まず初めに押さえたいのは、性別による違いです。

いきなり行動習慣ではないのですが、健康管理を行っていく上では性別(性ホルモン)の違いや加齢変化なども考慮していくことが重要になってくるので初めにあえてあげておきました。

もちろん生活によっては女性でも全然なり得ることはありますが、ここで知っておきたいのはホルモンによる影響です。

女性の場合、特に性成熟期(=出産適齢期:18〜35歳くらい)である場合、エストロゲンと呼ばれるホルモンの分泌量が多い傾向にあります。エストロゲンは妊娠に適した体を作る役割があり、それに伴い脂肪が皮下脂肪として蓄えられやすくなります。

そのため、内臓脂肪や肝臓よりも皮下に溜まりやすくなります。

ただ、高脂血症の年代別の統計を見てみると40代くらいから増加傾向にあることや意外と男性よりも女性の方が高脂血症の総数が多かったりもしているので、将来的になるかもしれないことを見越して早いうちから生活習慣を整えておくことが大事なんだなってことがわかりますね。(

一方、男性はどの年代においても基本的に生活習慣が乱れていれば内臓や肝臓に脂肪が溜まりやすいため、注意が必要です。

ただ統計を見てみると40歳くらいまでは以外と少なく、40歳以降で増えている感じです。

人にもよるのかもしれませんが、40歳くらいまではガツガツ働いている人が多くて、日常生活でのエネルギー消費が多いことも関係しているんじゃないかなあと思ったりしてます。

もしそうだとするならば、運動ができなくても日常生活レベルでの活動量を増やすことも、健康管理をしていく上では大事なんだなっていう話にもなってきますよね。

とりあえずここでの結論としては、ホルモン的に女性よりも男性の方が内臓や肝臓に脂肪が溜まりやすいけど、40歳過ぎれば男女関係なく高脂血症になりやすいので、まだ大丈夫な人はなるかもしれないということを見越して生活習慣を整えたりしていくことが重要だよねって感じです。

 

 

  • 単純糖質、特にフルクトースの摂取

フルクトースとは、果物などに含まれる糖質の中でも一番甘味が強い糖のことです。フルクトースは炭水化物の中で最も脂肪生成に強い影響を与える炭水化物って言われてたりします。

若い男性に対して6日間高フルクトース食(総カロリーの25%相当)を食べてもらった研究では、肝臓内での脂肪生成が6倍に増加し、肝臓のインスリン抵抗性と血中のTG濃度を増加させたとのことです。(

ただ、健康な成人に4週間中程度(1.5g/体重1kg/日)フルクトース食を摂取してもらった別の研究では、VLDLやTGレベルの上昇は見られたものの肝臓内の脂肪含有量の増加は認めなかったという結果も報告されています。(

なぜこのようなことが起きるのかについては、肝臓内に脂肪として蓄積されない代わりに、別の物質(VLDL)として多くが排出されたことによるものと考えられています。

肝臓内に溜まった脂肪は炎症や細胞死、繊維化などの脂肪毒性があることがわかっています。

つまり、多少のフルクトース摂取で脂肪肝にならないのは、脂肪毒性が起きないための代償として、血中のVLDL・TGが増加しているのだろうという考えですね。

本当にそうなら、体って本当によくできてるなと思う次第です。

 

ただ誤解しないでいただきたいのは、果物を食べるのを減らそうってことを言いたいわけではないということです。

果物は糖質以外にも食物繊維やビタミン、ファイトケミカルなどたくさんの栄養素が含まれていますから。

基本的に1つの自然食品を1つの栄養素だけで考えるのはナンセンスかなって思ってます。

では、どんなフルクトースの摂取を避けるべきかというと、主に加工食品に含まれているフルクトース(果糖)です。人工的に生成された糖を異性化糖と呼んだりもします。

食品成分表示には以下のように記載されています。

異性化糖の何がよくないのかというと、果物などの自然食品と異なり、高濃度な糖を多量に摂取できてしまうことです。

果物などであれば1つ食べてもせいぜい100g中に約7g程で、噛まないと食べれないものがほとんどで、食べるのにも時間がかかり満腹感を得やすいです。

しかし加工食品の中でも特に清涼飲料水などは、一度に多量摂取できて満腹感が得にくい故に、さらにたくさん摂取できてしまうので、食べる側にとって健康上デメリットになってなりやすいんだと思います。

さっき紹介した高フルクトース食を摂取させた研究でも、どのようにフルクトースを摂取していたのかというと、液体に溶かして摂取してもらっていたみたいです。

日常の中でそんなにたくさん摂取できるもんなのかと最初は思いましたが、身近なものだと清涼飲料水以外にも菓子パン、缶詰などに比較的多く含まれているようです。

別に食べるなとまでは言いませんが、当然ながら減らすに越したことはないですし、すでに体に影響が出ているのであれば、何か体にいいものを食べるよりも先にフルクトースの多い食品の摂取を減らすことの方が優先度は高いんじゃないかなって思います。

とは言っても、今ではほとんどの食品に含まれていて、完璧に避けるのは現実的に難しかったりもするので、摂取量が増えないようにしていくことが得策かと思います。

なので買い物などをするときは、以下の表示の有無と含有量を見る癖をつけて避けたり、少ない方を選ぶようにしていきたいところです。

 

 

次に紹介するのは、飽和脂肪酸の摂取です。

これは脂質異常症対策について調べれば大体どこの記事でも書いてあることかと思います。

しかし、飽和脂肪酸と言っても色々種類があるわけでして、どんなのがあるのかっていうと、長鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・短鎖脂肪酸の3つです。

じゃあこれら全てが良くないのかというとそうではなく、TGにおいて言えば一番関与してくるのはおそらく長鎖脂肪酸です。

飽和脂肪酸と高TG血症の関連について色々調べてみると、

  • 肝臓脂肪含有量を増やすのは、脂肪そのものではなく総エネルギー摂取量であり、高エネルギー食は肝臓脂肪を増加させるが低エネルギー食だと総脂肪含有量に関係なく肝臓脂肪含有量を減少させる(

という結果があったり、

という結果もあるわけなんですね。

 

じゃあ結局、肝臓の脂肪を増やすのは総摂取エネルギーなのか飽和脂肪酸なのかどっちなんだろうって話なんですが、

2021年に出された「NAFLDの進行における脂肪酸の役割に関するレビュー論文」を読んでみるとそのヒントがあったわけです。(

どんな内容かというと、

  • 肝臓の損傷は肝臓におけるC16飽和脂肪酸の蓄積に起因すると考えられている
  • C16C・18の蓄積は小胞体ストレスを誘発する可能性がある

というものです。

C16はパルミチン酸でC18はステアリン酸のことを意味します。これらは長鎖脂肪酸の種類の1つで、これらの蓄積が脂肪毒性を引き起こす可能性があるということです。

これらはどの食品に多く含まれているのかというと、牛肉や豚肉の脂身、バターやマーガリン、ショートニング、パームオイルなどです。

つまり、総摂取エネルギーが増えれば肝臓内の脂肪量を増やす可能性はあるが、さらにこれらの長鎖脂肪酸が含まれていると、体脂肪増加に伴う健康被害を引き起こす可能性が高くなるかもしれないって考えられるわけです。

また脂肪肝は肝臓からのVLDL分泌よりも脂肪合成の方が高まった時に起きるとされているため、これらの結果は矛盾しているわけではなく、その人の状態や経過によって食事内容による影響も変わってくる可能性があるというわけです。

 

一方、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は健康に対してどうなのかというと、過剰摂取をしないことは大前提として、

など、肥満に対してむしろ改善する方向に働いてくれることが報告されています。(

 

中鎖脂肪酸においてまだ動物試験による結果が多いですが、

ケトジェニックダイエットにおいては、中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルやMCTオイルを取り入れることによって、便秘が改善されたり肥満や高血糖が改善されたりという報告もあるため、前向きに捉えてもいいのではないかと思います。

 

飽和脂肪酸についてまとめると、

  • 飽和脂肪酸と言っても、TG値を上昇させるものもあれば腸内環境を改善したり、体脂肪の燃焼を促進させてくれるものもあるので、飽和脂肪酸で一括りにするのは良くない。
  • TG値対策において気にするべきは長鎖脂肪酸を含む食品
  • 肥満や脂質異常症などにおいて短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸はむしろ摂取すべき

って感じですかね。

長鎖脂肪酸を含む食事をやめるというよりも、頻度を減らしたり不飽和脂肪酸を含む食事に置き換えたりする方向で考えた方が現実的な対策かなって思います。

 

 

 

  • アルコールの摂取

最後に紹介するのはアルコールです。

ここはサラッといきます。

 

矛盾するかもしれませんが、アルコールは直接的にはむしろ肝臓からのVLDL分泌を減少させます。

じゃあアルコールは別にいいのかっていうとそうではなく、間接的にVLDL分泌を増加させるということです。

 

どういうことなのかについては、VLDL分泌を抑制することがどういうことなのかを考えるとわかりやすくて、

つまり肝臓で生成されたTG(脂肪)が分泌できずに肝臓の中に溜まっていくということです。

 

肝臓内の脂肪が溜まってくると、それを減らすために放出させた結果VLDLの分泌が増加して、血中のTGも増加するというわけです。

 

簡単に表すとこんな感じです。

アルコール摂取→VLDL分泌肝臓内脂肪 →VLDL-TG放出=VLDL・TG

なので、頻繁にアルコールを摂取している人は TG値が高くなっているか、内臓脂肪や肝臓内脂肪が増加している可能性が高いかもしれないです。

 

対策としては、飲むお酒を蒸留酒よりもビール、ビールよりもワインにする方が選び方的にはおすすめかなって思います。

あとは量としてはグラス1〜2杯にするとか。

これらはアメリカ糖尿病学会(ADA)より推奨されている内容ですので参考までに。

個人的にはあまりお酒を飲まないので量とかあまり考えないですが、習慣的に飲まずにはいられないという方は参考にしてみてください。(

 

 

結局長くなってしまいましたが、

まあここに書いたことは参考までに内容に縛られすぎず、ぜひ自分に合う対策を考えてみてください!