高TG血症を促進させる原因とは?
前回に引き続き、脂質異常症の診断基準の1つでもある高TG(トリグリセリド)血症について、どうすると上昇するのかについて勉強していこうと思います。
前回の内容を簡単にまとめると、体内でTGを運ぶ物質としてカイロミクロンとVLDL(超低密度リポタンパク質)があり、食事由来の脂質を運搬しているのがカイロミクロン、体内で生成されたTGを運搬しているのがVLDLだという話をしました。
また血中のTG濃度は食事によって変化することがわかっていて、食後のTG上昇は外因性であるカイロミクロンに伴うものであり、つまり空腹時のTG濃度の高さはVLDLに左右されていることが考えられるという結論から、
VLDL合成がどのような状態で起きやすいのかを知ることが高TG血症を予防・改善するためのポイントになってきそうだよね!という話をしました。
なので今回は、VLDL合成がどのような状態で起きやすいのかについてまとめていこうと思います。
まずは簡単な結論から
どのような状態や生活がVLDL合成(=高トリグリセリド血症)を引き起こしやすいのかというと、一言で言うならば
状態・生活
だと言えます。
どういうことなのか説明していきます。
VLDL合成・分泌が促進される原因
・脂肪肝
前回の記事でも説明したように、VLDLは体内で生成されたTGを肝臓から末梢へ運び出す役割があります。ということは単純な話、肝臓での脂肪量が増えればVLDLの分泌も増える可能性が高くなるということです。
実際に肝臓の脂肪含有量が多くなると、VLDL分泌が亢進するということが報告されています。(1)
そのため、脂肪肝や脂肪肝を促進する生活は高トリグリセリド血症を引き起こす根本的な原因の1つである可能性が高いということにもなってきます。
なので
について学ぶことが、高トリグリセリド血症を予防・改善するためのヒントかなって感じです。
・インスリン抵抗性
インスリン抵抗性もまたVLDL分泌を促進させることがわかっています。
インスリン抵抗性とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンによって、血管内の糖が細胞内へ取り込まれる作用が、障害されている状態のことを言いいます。
2型糖尿病の血糖値が高くなる原因として有名かなと思います。
ではなぜインスリン抵抗性が起きるとVLDL分泌が促進されやすくなるのかというと、明確なメカニズムは明らかになっていないですが、肝臓の脂肪貯蔵、特に脂肪毒性の蓄積に抵抗するためのメカニズムと考えられています。(2)
インスリン抵抗性になると、余った血管内の糖は脂肪へと変換されやすくなります。
するとその脂肪が肝臓内に蓄積されてしまう可能性があるということです。
そして、肝臓内に溜まった脂肪が炎症や、細胞死、繊維化などへ進行させてしまう可能性があるということが報告されています。(3)
つまり、インスリン抵抗性は肝臓内に溜まった脂肪による脂肪毒性を軽減させるために、肝臓からのVLDL(中性脂肪)の分泌を増やして対処していると考えられているわけです。
そのため、インスリン抵抗性を引き起こすような生活などに対して対策していくこともまた、高トリグリセリド血症を予防・改善するための方法の1つと言えるということです。
そしてインスリン抵抗性がすでに起きている糖尿病および予備軍の場合、脂質異常症を起こしやすい状態でもあることが考えられるわけですから、その辺も考慮して対策して行った方が良さそうですね。
では脂肪肝やインスリン抵抗性はどのような行動でなりやすいのかについては、次回話していこうと思います。
それでは!